不動産用語集

用途地域

【ようとちいき】

用途地域とは良好な市街地環境を形成するために、さまざまな用途の建築物が無秩序に混在することを防ぎ、地域ごとに合理的な立地規制、用途規制をしようとするためのものです。
用途地域が指定されると、それぞれの用途に応じ、建てられる建物の種類が制限されます。
用途地域は全部で12種類ありますが、大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」に分類されます。

住居系 第一種低層
住居専用地域
低層住宅のための地域です。
一般の住宅のほか、小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小・中・高等学校、老人ホーム、診療所などを建てることができます。
住まい環境を守るために制限が厳しくなっているので、高さのある建物や、一定規模以上の店舗や病院などもありません。
分譲マンションが建設されることもありますが、3階建て程度の低層マンションが中心となります。
コンビニエンスストアなども立地することができないので、日常のちょっとした買い物などにも不便なことがあります。
第二種低層
住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。小中学校などのほか、床面積が150㎡までの一定のお店などが建てられます。
第一種低層住居専用地域に比べて、少し利便性の高まる地域です。
第一種中高層
住居専用地域
中高層住宅のための地域です。低層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、
病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。
都市部では中高層マンションも比較的多く建てられています。
第二種中高層
住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。
第一種中高層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、病院、大学などのほか、
1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。
ある程度の住環境水準を維持しつつ、日常生活の利便性も高まる地域です。
第一種住居地域 3,000㎡までの店舗、事務所、ホテル、旅館などが建てられる他、50㎡以下の小規模な工場などを建てることもできるようになります。
基本的には住居主体で住居の環境を守るための地域です。
指定面積が最も広く、大規模なマンションも数多くみられます。
第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域ですが、大規模な商業施設やマージャン店、パチンコ店、カラオケボックスなどは建てられます。
この地域内の物件を検討するときには、より慎重に周辺の環境を確認することが大切です。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。
住居系の用途地域では最も許容範囲が広く、営業用倉庫、小規模な自動車修理工場・劇場・映画館なども認められる地域ですが、
実際に指定されているところはごくわずかです。
住宅の環境を保護しつつも、自動車施設やホテル、映画館、ボーリング場なども建てられるようになります。
商業系 近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。日常の買い物をするためのお店やスーパーなどが多くなり、商店街が形成されることもあり、日常生活の利便性は高まります。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。
商業地域 市街地の中心部や主要駅のまわりなどに指定され、多くのビルが立ち並ぶ地域です。
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まり、住宅や小規模の工場も建てられます。
相対的に地価が高くなるため、新たに一戸建て住宅が建てられることは少ないのですが、
中高層マンションだけではなく20階建て以上の超高層マンションも数多く建設されています。
ただし、一定の工場などを除いて、ほとんどの用途の建築物を建てることができるため、
周辺の環境や隣接地の建築計画などにはとくに注意しなければなりません。
基本的には住環境が重視されることのない地域であり、日影規制など日照を保護するための規定も適用されません。
またこの地域では風俗施設も建てることができます。
工業系 準工業地域 商業地域と並んで用途の幅が広く、一定の風俗営業店と危険性や環境悪化のおそれが大きい工場などを除いて、
ほとんどの用途の建築物を建てることができます。
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域で、危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。
マンションの供給も比較的多い地域ですが、昔からの町工場が集まっている場所など居住者の多い市街地のなかで指定されている例も少なくありません。
平日と休日で様相が大きく異なる場合もありますから、曜日を変えて複数回の現地チェックをすることが大切です。
工業地域 どんな工場でも建てられる地域です。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
住宅の立地は認められているため、工場跡地の再開発などで大規模なマンションや一戸建て住宅が分譲されることもありますが、
環境を悪化させる工場や危険性の高い施設も建てることができるため、周辺環境には十分な注意が必要です。
敷地のまわりだけでなく、最寄り駅へ行くまでの間についても環境やトラックの交通量など、よく観察することが大切です。
また、商業地域と同様に日影規制などが適用されません。
工業専用地域 工場のための専用地域で、唯一住宅を建てることができない用途地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

以上12種類が用途地域となりますが、ある日住宅地の真ん中に大きな工場ができるという可能性もありますし、実際に住宅の目の前に火力発電所の計画も持ち上がったという事例もありますので、用途地域を確認する重要性も高まってきています。