不動産のこと
位置指定道路

位置指定道路の定義

位置指定道路とは、特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を指します。
建築基準法第42条第1項第5号に基づいています。
建築基準法では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」と接していなければならないと定められています。

建築基準法第42条第1項第5号に基づく説明

建築基準法第42条第1項第5号では、位置指定道路を以下のように定義しています。
私道の幅が少なくとも4m(袋地の場合には6m)であり、特定行政庁から道路位置指定を受けているものを位置指定道路と呼びます。

位置指定道路と一般的な道路との違い

位置指定道路と一般的な道路の違いは、位置指定の有無です。位置指定道路は特定行政庁から位置指定を受けた私道であり、建築基準法上の道路として認められています。
一方、一般的な道路は、特定行政庁による位置指定を受けていない一般の公道や私道を指します。
建築基準法上の道路である位置指定道路に面する土地では、建築物を建築することができます。

位置指定道路の作成目的

位置指定道路が作成される目的には、土地所有者が作成する理由と特定行政庁が位置指定を行う理由があります。

土地所有者が位置指定道路を作成する理由

土地所有者が位置指定道路を作成する理由は、以下のようなものがあります。

  1. 建築物を建築するために必要な条件を満たすため:建築基準法第43条では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定められています。そのため、土地所有者は土地に位置指定道路を作成することで、建築物を建築するための条件を満たすことができます。
  2. 土地の利用価値の向上:位置指定道路が整備されることにより、土地の利用価値が向上すると考えられます。道路へのアクセスが確保され、周辺の施設への便益や交通の利便性が高まるため、土地の需要や価値が上がることが期待されます。

特定行政庁が位置指定を行う理由

特定行政庁が位置指定を行う理由には、以下のようなものがあります。

  1. 市町村の都市計画や道路計画の実現:特定行政庁は、市町村の長または都道府県知事を指します。特定行政庁は、都市計画や道路計画を実現するために、必要な道路の整備や位置指定を行います。位置指定道路の整備により、都市計画や道路計画の目的を達成することができます。
  2. 公共の利益の確保:位置指定道路の整備は、公共の利益を確保するために行われます。道路の整備により、交通の流れや安全性が向上し、地域全体の利便性が高まります。また、災害時や緊急時においても、位置指定道路が確保されることで迅速な対応が可能となります。

位置指定道路のメリットとデメリット

土地所有者にとってのメリットとデメリット

位置指定道路を所有する土地所有者には、以下のようなメリットがあります。

まず、位置指定道路を所有していることによって、建築物の建築が可能となります。建築基準法第43条による接道義務を満たすため、土地が建築基準法上の道路に2m以上の長さで接している必要があります。
位置指定道路は建築基準法上の道路として認められているので、土地所有者は建築物を建てることができます。
また、位置指定道路の存在は土地の価値を高める要素となります。
周辺の地域が発展している場合、位置指定道路に面した土地はアクセスの便がよくなるため、需要が高まります。そのため、土地の売却や賃貸においても有利な条件交渉が可能となります。

一方で、位置指定道路を所有する土地所有者には、以下のようなデメリットも存在します。
まず、位置指定道路の維持管理費用がかかるという点です。位置指定道路は私道の一種であり、土地所有者が維持管理費用を負担する必要があります。道路状態の維持や修繕、除雪など、様々な負担が発生します。
また、位置指定道路の使用制限がある場合があります。一部の位置指定道路は、特定の用途に使用することが制限されている場合があります。
たとえば、一部の道路は商業利用が禁止されているなど、土地所有者の利用範囲が制約される場合があります。

建築物を建てる立場から見たメリットとデメリット

建築物を建てる立場から見た場合、位置指定道路には以下のようなメリットがあります。
まず、位置指定道路に面した土地は、法的な制限を満たしているため、建築物を建てる際の条件をクリアすることができます。
建築基準法第43条によって建築物の敷地は建築基準法上の道路に接している必要がありますが、位置指定道路はその要件を満たすため、建築物の建設が可能となります。
また、位置指定道路に面した土地はアクセスの便が良いため、交通の要所に位置している場合は、集客効果やビジネス展開の機会も広がる可能性があります。
一方で、位置指定道路には以下のようなデメリットも考慮しなければなりません。
まず、位置指定道路の幅や制約によって、建築物の設計や計画に制限が生じる場合があります。
特に幅が狭い場合や使用制限がある場合は、建築物の形態や用途に制約が生じる可能性があります。
また、位置指定道路の維持管理に関する負担も発生します。建築物が位置指定道路に面している場合、建物周辺の清掃や除雪、道路の修繕などの責任を負う必要があります。
以上が、位置指定道路の所有者および建築物の建てる立場からのメリットとデメリットです。位置指定道路の選択は、それぞれの状況やニーズに合わせて検討する必要があります。

位置指定道路の税金や維持管理費について

位置指定道路を所有する土地所有者は、位置指定道路に関連する税金や維持管理費を負担する義務があります。

誰が負担するのか

税金や維持管理費の負担は、位置指定道路の所有者である土地所有者が行う必要があります。一般的には、土地所有者がこれらの費用を負担します。

具体的な負担額とその計算方法

位置指定道路の税金や維持管理費の具体的な金額や計算方法は、市町村の条例や規則によって異なります。一般的には、土地の面積や位置指定道路の幅、維持管理にかかる費用等を基にして計算されます。
土地所有者は、年間固定の税金や、定期的な維持管理費を納める必要があります。これらの負担額は、場所や地域によって異なる場合がありますので、市町村の税務署などへ確認することが重要です。
また、土地所有者は維持管理費の拠出や道路の修繕にも責任を負います。必要な修繕や保守管理に関連する費用は、土地所有者が負担する必要があります。

現況有姿売買

【げんきょうゆうしばいばい】

現在あるがままの状態(現況有姿)で売買することをいいます。
中古不動産の売買では、リフォームなどを行わず現在あるがままの状態で売買することをいいます。
また山林や原野などを造成工事しないで販売することを「現況有姿分譲」といい、市街化調整区域の別荘地などの分譲でよく行なわれます。
通常は、電気、ガス、水道などの施設が整備されていないために、そのままでは生活できません。分譲広告の際には、現況有姿分譲地であって、そのままでは生活する施設がない旨を表示しなければなりません。

現況有姿売買で知っておくべきこと
売買契約書に「現況有姿で引き渡す」などの文言があれば、「瑕疵担保責任が免責される」意味だとの誤解がよくあります。
しかし、この2つは全く違う意味ですので、注意が必要です。
また「現況有姿」という文言は、明確な定義もなく、売り主と買い主の間で意味の取り方が違っているというケースが多くあります。
このように契約者の間で、契約書の条項の意味の理解に違いがあるという状態は、トラブルにつながりやすいので注意が必要です。

地目

【ちもく】

地目とは、土地の主たる用途を示すために土地につけられた名称のことで、土地の登記事項に記されています。
ただ、登記上の地目(登記地目)と実際の用途(現況地目)は同じとは限らず、異なっている場合があります。
その場合、地目変更が必要になります。
地目変更とは、地目を変更する登記のことで、土地の現状と利用目的によって判断します。

※不動産登記法第37条には「地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない」とされています。

地目の種類(23種類)
田・畑・宅地・学校用地・鉄道用地・塩田・鉱泉地・池沼・山林・牧場・原野・墓地・境内地・運河用地・水道用地・用悪水路・ため池・堤・井溝・保安林・公衆用道路・公園・雑種地

取引態様

【とりひきたいよう】

取引態様とは、不動産の売買や賃貸の取引を行うときに、不動産会社などの宅地建物取引業者がどの立場で関与するかを示すものです。 取引態様の違いによって、宅地建物取引業者の権限と報酬が異なります。 取引態様には、売主・代理・媒介(仲介)があります。

売主
物件情報を出している広告主が開発・分譲した土地や建物を直接販売していることを意味します。「自社物件・販売主」などと表記される場合もあります。物件の所有者(売主)から直接取引を行う為、売主仲介手数料がかからない事が大きな特徴でありメリットです。

代理
販売代理・販売提携などと表記されています。売主から販売の代理権を与えられた不動産会社が、販売活動から契約まで行なうものです。売主から代理権を得て、不動産会社は売主と全く同じ立場となります。買主から見ると、不動産会社が売主になります(そのように見えます)ので、一般的に物件の買主側は仲介手数料がかかりません。売主は手数料を不動産会社に支払います。
この時、売主が不動産会社に支払う金額は売主と買主両方の分の手数料を支払うことが原則ですが、取引によって異なります。

媒介(仲介)
媒介(仲介)は、簡単に言うと売主と買主の間に不動産業者(仲介業者)が入ることをいいます。仲介業者が紹介・斡旋するということです。仲介業者は売主と買主を引き合わせ、取引条件の調整役を担います。 買主に変わって売主への要望や交渉なども行います。契約が成立した際は、売主と買主は仲介手数料を仲介業者に支払うことになります。

仲介手数料

【ちゅうかいてすうりょう】

不動産の売買または賃貸借契約の際、仲介をした不動産業者(宅地建物取引業者)に支払う手数料のことを言います。不動産の取引の仲介では、売買または賃貸の契約が成立したときに不動産会社の仲介手数料の請求権が発生します。(一般的に「成功報酬」といわれています。)したがって、売買契約が成立するまでは、原則として、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
また金額には上限があり、宅地建物取引業法で定められています。

賃貸の仲介手数料
契約の手続きや、部屋の紹介の手数料として、不動産会社に支払うお金のことを言います。 金額は、家賃の1カ月分(共益費・管理費などは含まない)が上限とされています。

~賃貸の仲介手数料の相場は家賃1ヶ月+消費税~
仲介手数料の相場は、上限と同じ「契約する物件の家賃の1ヶ月+消費税」です。家賃10万円のお部屋なら、10万円+消費税8%で8千円、つまり10万8千円となります。

売買の仲介手数料
宅建業法でいう媒介報酬の一般的な呼び方で、媒介(仲介)を依頼され、契約を成立させた際に受け取る報酬のことです。
売買契約が成立すると、不動産会社に仲介手数料の請求権が発生しますので、例えば、売買契約成立時に仲介手数料の全額を不動産会社に支払っても、違法というわけではありません。
ただし、不動産売買では契約締結時点で引き渡しまで完了していないことが多いことから、一般的には契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが望ましいとされています。
また、通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。例えば、一般的に行われる広告費用や購入希望者の現地案内にかかわる費用は、売買契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。
例外的に、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の「実費」については、請求することが認められています。例えば、依頼者の希望で実施した通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用、依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張旅費などについては、不動産会社は仲介手数料とは別に請求することができます。
ただし、あくまでも(1)依頼者の依頼に基づいて発生したものであること(2)通常の仲介業務では発生しない費用であること(3)実費であること、のすべてが満たされている場合に限定した例外的な取り扱いです。

~売買の仲介手数料の簡易計算方法~
1 売買価格(税抜)が200万円以下            5%+消費税
2 売買価格(税抜)が200万円超〜400万円まで     4%+2万円+消費税
3 売買価格(税抜)が400万円超           3%+6万円+消費税

調査費用
売買価格400万円以下(税別)の宅地または建物の売却では、従来の方法で算出した仲介手数料の額と「現地調査等に要する費用に相当する額」を合計した金額を18万円を上限として請求することが出来ます。

クーリング・オフ制度

【くーりんぐ・おふせいど】

クーリング・オフ制度

 

一定の期間内であれば違約金などの請求・説明要求を受けることなく、一方的な意思表示のみで申し込みの撤回や契約の解除ができる制度です。

不動産の売買にもクーリング・オフ制度はあります。

不動産においては、宅地建物取引業法第37条の2にクーリング・オフが規定されています。

基本原則は以下の通りとなっています。

 

①不動産(宅地・建物)の売買契約について、②売主が宅地建物取引業者であって、③その事務所等以外の場所で買主が購入の申込みや契約を締結した場合、8日以内に無条件で撤回や解除をすることができる。

 

この①~③の要件全てがそろってクーリング・オフ適用の可能性が出てきます。

 

ただし、次のような場合には、この制度は適用されません。

① 売主が宅地建物取引業者でない場合

② 売主の事務所で申込みや契約締結をした場合

③ 事務所以外の場所だが継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、

申込みや契約を締結した場合

④ 10区画以上の一団の宅地または10戸以上の建物の分譲を行う場合の

案内所・モデルハウス・モデルルーム等で、申込みや契約締結をした場合

⑤ 代理または媒介を行う宅地建物取引業者の上記②~④の場所で

申込みや契約締結をした場合

⑥ 取引士を置かなければならない事務所等で説明をしたあと、

抽選会場で契約を締結した場合

⑦ 事務所等で買受けの申込みをし、事務所以外の場所で契約を締結した場合

⑧ 買主の自宅または勤務する場所で、申込みや契約締結した場合

⑨ 申込みや契約の撤回ができる旨を告げられた日から8日を経過した場合

⑩ 当該宅地または建物の引渡を受け、かつ、代金の全部を支払ったとき

⑪ 宅地建物取引業者同士の取引である場合

 

※場所が自宅または勤務先であっても、その場所が買主の申し出による場合はクーリング・オフできない。ただし自宅または勤務先への訪問が、売主(宅建業者)の申し出による場合はクーリング・オフできる。また、買主の申し出による場合でも、ホテルや喫茶店等の場合はクーリング・オフできる。

 

クーリング・オフをする方法

 

クーリング・オフは、「クーリング・オフできる旨及びクーリング・オフの方法について告げられた日(書面を交付して告げなければならない)」から起算して8日以内に書面で行わなければならない。

 

宅地建物取引業者にはクーリング・オフについて告知(書面交付)をする義務はありません。しかし、クーリング・オフの対象の不動産である場合、業者から告知されないと永久にクーリング・オフできることになります。そのため、消費者のクーリング・オフの権利を排除し、告知から8日で消滅させるため、クーリング・オフの対象である場合には告知が行われるのが一般的となっています。

 

注意しなければならないのが、いつ書面によりクーリング・オフが告知されたかということです。もし、買受けの申込み時に告知されていた場合、その日から8日間の計算をします。契約締結日から計算するのではありません。(契約締結日に告知された場合、その日から8日間となります)

このように8日以内というのは、告知された日を1日目としてカウントします。

 

クーリング・オフをする場合は、クーリング・オフ期間内に書面によって発信します。

通知書の発信が8日以内であれば、到着は期限後でも構いません。書面とは、ハガキ・封書・内容証明郵便・FAX等をいいます。ただ、クーリング・オフをした証拠を残して、「届いていない・聞いていない」などというトラブルにならないために、内容証明郵便でクーリング・オフが行われることが一般的です。

 

もし、宅地建物取引業者が口頭でのクーリング・オフを受け付けてくれた場合は、その契約を解約した旨の書面を証拠として残しておくべきです。解約証書など解約の書面を交付してくれない場合は、 内容証明郵便でクーリング・オフ通知書を送付して解約したことの証拠を残しておくことが望ましいでしょう。

用途地域
【ようとちいき】

用途地域とは良好な市街地環境を形成するために、さまざまな用途の建築物が無秩序に混在することを防ぎ、地域ごとに合理的な立地規制、用途規制をしようとするためのものです。
用途地域が指定されると、それぞれの用途に応じ、建てられる建物の種類が制限されます。
用途地域は全部で12種類ありますが、大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」に分類されます。

住居系 第一種低層
住居専用地域
低層住宅のための地域です。
一般の住宅のほか、小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小・中・高等学校、老人ホーム、診療所などを建てることができます。
住まい環境を守るために制限が厳しくなっているので、高さのある建物や、一定規模以上の店舗や病院などもありません。
分譲マンションが建設されることもありますが、3階建て程度の低層マンションが中心となります。
コンビニエンスストアなども立地することができないので、日常のちょっとした買い物などにも不便なことがあります。
第二種低層
住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。小中学校などのほか、床面積が150㎡までの一定のお店などが建てられます。
第一種低層住居専用地域に比べて、少し利便性の高まる地域です。
第一種中高層
住居専用地域
中高層住宅のための地域です。低層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、
病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。
都市部では中高層マンションも比較的多く建てられています。
第二種中高層
住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。
第一種中高層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、病院、大学などのほか、
1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。
ある程度の住環境水準を維持しつつ、日常生活の利便性も高まる地域です。
第一種住居地域 3,000㎡までの店舗、事務所、ホテル、旅館などが建てられる他、50㎡以下の小規模な工場などを建てることもできるようになります。
基本的には住居主体で住居の環境を守るための地域です。
指定面積が最も広く、大規模なマンションも数多くみられます。
第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域ですが、大規模な商業施設やマージャン店、パチンコ店、カラオケボックスなどは建てられます。
この地域内の物件を検討するときには、より慎重に周辺の環境を確認することが大切です。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。
住居系の用途地域では最も許容範囲が広く、営業用倉庫、小規模な自動車修理工場・劇場・映画館なども認められる地域ですが、
実際に指定されているところはごくわずかです。
住宅の環境を保護しつつも、自動車施設やホテル、映画館、ボーリング場なども建てられるようになります。
商業系 近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。日常の買い物をするためのお店やスーパーなどが多くなり、商店街が形成されることもあり、日常生活の利便性は高まります。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。
商業地域 市街地の中心部や主要駅のまわりなどに指定され、多くのビルが立ち並ぶ地域です。
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まり、住宅や小規模の工場も建てられます。
相対的に地価が高くなるため、新たに一戸建て住宅が建てられることは少ないのですが、
中高層マンションだけではなく20階建て以上の超高層マンションも数多く建設されています。
ただし、一定の工場などを除いて、ほとんどの用途の建築物を建てることができるため、
周辺の環境や隣接地の建築計画などにはとくに注意しなければなりません。
基本的には住環境が重視されることのない地域であり、日影規制など日照を保護するための規定も適用されません。
またこの地域では風俗施設も建てることができます。
工業系 準工業地域 商業地域と並んで用途の幅が広く、一定の風俗営業店と危険性や環境悪化のおそれが大きい工場などを除いて、
ほとんどの用途の建築物を建てることができます。
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域で、危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。
マンションの供給も比較的多い地域ですが、昔からの町工場が集まっている場所など居住者の多い市街地のなかで指定されている例も少なくありません。
平日と休日で様相が大きく異なる場合もありますから、曜日を変えて複数回の現地チェックをすることが大切です。
工業地域 どんな工場でも建てられる地域です。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
住宅の立地は認められているため、工場跡地の再開発などで大規模なマンションや一戸建て住宅が分譲されることもありますが、
環境を悪化させる工場や危険性の高い施設も建てることができるため、周辺環境には十分な注意が必要です。
敷地のまわりだけでなく、最寄り駅へ行くまでの間についても環境やトラックの交通量など、よく観察することが大切です。
また、商業地域と同様に日影規制などが適用されません。
工業専用地域 工場のための専用地域で、唯一住宅を建てることができない用途地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

以上12種類が用途地域となりますが、ある日住宅地の真ん中に大きな工場ができるという可能性もありますし、実際に住宅の目の前に火力発電所の計画も持ち上がったという事例もありますので、用途地域を確認する重要性も高まってきています。

媒介契約
【ばいかいけいやく】

不動産を売却する場合、個人ではなかなか買い手を探すことは難しいため、不動産会社を介して(媒介)売却を依頼することになります。
この媒介にあたり、依頼者の保護、取引の安全及び流通の円滑化を 図るため、媒介契約の書面化が義務付けられています。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類あり、それぞれに細かい取り決めがあります。
不動産会社は、媒介契約を締結する際には、依頼者に各媒介契約の相違点を十分に説明し、依頼者の意思を十分確認した上で、媒介契約を締結し、直ちに媒介契約書面を交付することになっています。

各媒介契約の比較

区分 専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
依頼者のメリット ・不動産会社は積極的に売却活動を行います。
・レインズに登録され多くの不動産会社へ情報発信されます。
・販売の窓口が1社のため、様々な情報が集まります。
多くの不動産会社に販売活動を依頼できます。
依頼者のデメリット ・販売の依頼先が限定される
・契約期間内は他の不動産会社に依頼できない
・自分で見つけた買主と取引できない(専属専任の場合)
※自ら発見した相手と取引成立すると、報酬相当額を請求されます。
・依頼窓口や情報が分散する
・活動状況が報告されない
不動産会社に特別に依頼した広告の料金や遠隔地への出張料旅費は実費を負担します。
標準媒介契約約款による
有効期限
3ヶ月以内 法令上の制限はありません。
(ただし、行政の指導は3ヶ月以内)
媒介契約の更新 ・媒介契約の有効期間は、依頼者(売主)と不動産会社の合意に基づき、更新することができます。
・有効期間の更新をしようとするときは、有効期間の満了に際して依頼者から不動産会社に対して文章でその旨を申し出ます。
・有効期間の更新に当たり、依頼者と不動産会社の間で媒介契約の内容について別段の合意がなされなかったとき(売り出し価格がそのまま等)は、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなします。

■売主の義務

他の不動産会社への依頼 ×
重ねて依頼することができません
(1社にだけしか依頼できない)

重ねて依頼する
ことができます
自己発見取引
(自ら見つけた
相手方との取引)
×
認められない
※約定報酬相当額を請求されます

認められる
※一般媒介契約を締結した他の不動産会社に対して通知義務があります

■不動産会社の義務

成約に向けての義務 積極的に取引の相手を探すことが義務付けられています。  
指定流通機構への登録 媒介契約締結の翌日から5日(※)以内に登録義務有り
※当日および不動産会社の休業日を含みません
媒介契約締結の翌日から7日(※)以内に登録義務有り
※当日および不動産会社の休業日を含みません
任意での登録は可能(依頼者の同意を得た上で積極的にレインズへ登録します)
登録証明書の交付 遅滞なく、指定流通機構が発行した登録証明書を依頼者に交付しなければなりません  
登録証明書のサンプル
業務処理状況の報告義務 1週間に1回以上 文書又は電子メールによる報告 2週間に1回以上 文書又は電子メールによる報告 法令上の義務はありません
(任意で報告を求めることは可能です)
成約したときの通知義務 売買の契約が成立したときは、遅滞なく
指定流通機構(近畿レインズ)へ通知(成約登録)
しなければなりません
 
直接取引 契約の有効期間の満了後2年以内に依頼者(売主)が依頼を受けた不動産会社を排除して、その会社から紹介を受けた相手方(買主)と直接取引した場合には、不動産会社は依頼者に対し、不動産会社が取引の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求することができます。
他の不動産会社
によって成約した場合
契約の有効期間内に依頼者が他の不動産会社の媒介によって取引を成立させたときは、約定報酬額に相当する金額を違約金として請求することができます。 契約の有効期間内に依頼者が明示していない不動産会社の媒介によって取引を成立させたときは、履行のために要した費用の償還を請求することができます。
自己発見取引
(自ら見つけた
相手方との取引)
を行った場合
契約の有効期間内に自ら発見した相手方と取引を成立させたときは、不動産会社は約定報酬額に相当する金額を請求することができます。 契約の有効期間内に自ら
発見した相手方と取引を成立させたときは、不動産会社は契約の履行のために要した費用の償還(実費)を請求することができます。
依頼者は依頼した不動産会社全てに対し、成約した旨を通知する必要があります。依頼者がこれを怠り、不動産会社が成約を知らずに業務を行ったときは、不動産会社は業務に要した費用の請求することができます。
売主による
媒介契約の解除
(不動産会社に責任が
ない場合無責)
契約の有効期間内に不動産会社の責めに帰すことのできない事由によって契約が解除されたときは、不動産会社は契約の履行のために要した費用の償還(実費)を請求することができます。
※例:不動産会社が販売のために要した広告費など
明示型と非明示型の別があります。

一般媒介契約における「明示型」と「非明示型」

一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」の2種類があります。

一般媒介契約では複数の不動産会社に重ねて媒介を依頼できるため、契約締結時に他にどの不動産会社に媒介(売却)を依頼しているかを告知(明示)しなければなりません。これを「明示型」と言います。
一方、他の不動産会社に重ねて媒介を依頼する場合でも、一般媒介契約書の特約に、他に依頼する不動産を明示しない旨を記載することで、告知する必要がない「非明示型」があります。

区分 明示型 非明示型
概要 一般媒介契約を締結するときに、重ねて依頼する(他に依頼した)不動産会社を明示(通知)しなければなりません。
※「標準媒介契約約款」による
他の不動産会社に重ねて仲介を依頼しているのか、あるいはどんな会社に依頼しているのかを、依頼する不動産会社に明示(通知)する必要がありません。
一般媒介契約書に
記載する事項
既に依頼をしている不動産会社の商号または名称および主たる事務所の所在地を記載する。また、契約締結後さらに他の不動産会社に依頼しようとするときは、その旨を告知する。 一般媒介契約を締結するときに、重ねて依頼する(他に依頼した)不動産会社を明示しない場合は、その旨を特約しなければならない。
明示していない不動産
会社により契約した場合
一般媒介契約の有効期間内に、依頼者が明示していない他の不動産会社に売却等の依頼をし、これによって売買または交換の契約を成立させたときは、媒介契約を締結していた不動産会社は依頼者に対して、一般媒介の契約の履行のために要した費用(※1)の償還(※2)を請求することができます。
※1 例:不動産会社が独自に行った広告費用など
※2 請求の費用は約定報酬額(仲介手数料)を超えることはできません。
 
成約したときの
売主の報告義務
売主は、媒介または交換の契約を成立させたときは、依頼した(一般媒介契約を締結した)全ての不動産会社に、どの不動産会社によって契約が成立(成約)したかを、速やかに通知しなければなりません。

※一般媒介契約を締結した他の不動産会社は、売主より成約済みの通知がない場合、継続して販売活動を行うため、既に成約済みの物件であるにもかかわらず、別の買主に紹介する可能性があります。
※売主が他の不動産会社に成約の通知を行わず、複数の買主からの条件を比較(より高い金額で売却しようとする)などした場合は、損害賠償を請求される場合があります。